改善後の設計を見て「なぜ最初からそうしなかったのか」と考えるとき、設計の優劣と、その設計を選んだ判断の妥当性を分けたい。現在の情報でよいと分かる設計でも、当時の情報と制約で選ぶ理由があったとは限らない。当時の選択も、最善だと思っていたことだけで妥当になるわけではない。
たとえば利用量の増加に対応して設計を変えた場合、増加の兆候を見落としたのか、増加が設計に与える影響を誤ったのか、後から事業の方針が変わったのかで、振り返る対象が異なる。後から分かった事実を、そのまま当時も知っているべきだった事実として扱わない。
実践によって設計知識が増えるなら、設計の更新は学習の結果でもある。概念モデルも現時点の理解に基づく仮説である。更新が必要になった事実だけでは、当初の判断の誤りを示せない。
当初の判断を評価するには、当時の費用に見合う確認で選択を変えられたかを考える。事前に知ることが難しかった場合も、前提の変化を早く検知できたか、変更の影響を狭くできたかは検討できる。その備えにも費用がかかるので、当時の制約に照らして評価する。