コメントの作成や編集を、一つのコメントの値に対する操作として実装するだけでは、「この対象に付いたコメントをすべて探す」という振る舞いを説明しきれない。コメントと対象の対応を、全体として保持する仕組みが必要になる。
その対応はコメントのコンセプトに属すると考えられる。投稿側がコメント一覧を直接持つと、コメントを付ける仕組みを使わない投稿にも、その依存が入り込む。対象からコメントへの対応をコメント側で管理すれば、投稿自身の定義をコメントに依存させずに済む。
本書のコンセプトは、値の表現を隠す抽象データ型や、個々のオブジェクトと一対一に対応する単位ではない。利用者にとって意味のある振る舞いのために、複数の値やオブジェクトの間の関係まで含める設計単位である。目的を果たせる粒度 と、実装で一つの型にまとめる粒度は分けて考える。
出典:Daniel Jackson『優れたデザインにとってコンセプトが重要な理由』ノート48「コンセプトの特徴」、pp.240–241。